説明責任とはアカウンタビリティのことか【その3】

2020年08月20日 19:30

【その2】で書いたように、アカウンタビリティは辞書的には「責任の強意語」ですから、日本語ではレスポンシビリティとアカウンタビリティをまとめて、「責任」に対応すると考えてもよいのですが、その違いを簡単に表すと次のようになります。

レスポンシビリティ:責任があること
アカウンタビリティ:責任を果たすこと
(レスポンシビリティとアカウンタビリティの違いについての詳細は、「情報創庫」をご参照ください。)

したがって、英語圏の文書で「アカウンタビリティ」とあるときは、責任を果たすことを強調していると考えると、この言葉を使って書かれた文章の意味が良く理解できます。

この点について、福島第一原子力発電所事故の元国会事故調査委員会委員長の黒川清氏は【その1】で紹介した文書でアカウンタビリティのことを次のように書いておられ、これは原子力分野での認識とも合致するものです。

『英米語であるが、これを使う時は「与えられた責務、責任を果たす」という意味であり、「責務、責任」より強い意味がある。』

「個人が責任を果たすこと」がいかに重要であるかは、これまでに原子力界で起きたことを考えれば、いくら強調してもしすぎることはありません。

【その2】にも書いた、安全文化の特性を表す「10の特性」の1項目がPersonal Accountabilityであり、'Accountable Leadership'というリーダーシップ教育の中で、前述のようなアカウンタビリティの意味とともに教える例があります。
出典:NUREG-2165 Safety Culture Common Language
(「情報創庫」をご参照ください。ネットでも入手可)

しかし、英語圏の慣習に詳しい人はともかく、文化的背景が違う我々日本人が下手な解説をすると、【その1】の冒頭で紹介した落語のようなことになりかねません。

そうならないためにも「10の特性」を参考にして、どのように行動することがアカウンタビリティ(責任を果たすこと)なのかを理解する方が早道となるでしょう。

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