システミックといふこと(第1回)

2021年07月15日 16:00

表題を「いふこと」と旧仮名遣いにしたのは小林秀雄氏の《無常といふこと》が念頭にあったのですが、特に内容的に関係があるわけではありません。

小林秀雄氏には次回登場願うことにして先に進めます。

このブログは「噺のネタ帳」と称している関係もあり、何かを論述して結論を出そうとか大それたことは考えておりません。
そこで、まずはネタから始めましょう。

1年くらい前、コロナ禍で引きこもっていてもいけないと思い、ご近所を散歩していたときのことです。

美容院の入り口に「holistic beauty」と書いてあるのを見つけました。

全身美容か何かのことかと思って調べてみたのですが、「日本ホリスティックビューティー協会」というのがあるようで、そのホームページには以下のように書いてありました。

~ホリスティックとは、全体の、包括的なという意味で、「全体は部分の寄せ集めではない」という哲学的価値観を示す言葉です。
人も動植物も自然環境に生きる者すべては、有機体です。~

そう言えば、IAEA(国際原子力機関)の文書に、システミックとはホリスティックの意味だ、と書いてあったのを思い出しましたが、基本は同じ考え方かと思います。

しかし、システミックという用語は、ホリスティックほど日本語の中でそのまま使われているわけではないようで、訳語では、「相発的」「全体相関的」というのを見たことがあります。

以下の文書では「相発的」という造語が使われていますが、他ではあまり見た記憶がありません。

出典:「ヒューマンファクターと事故防止」エリック・ホルナゲル著 小松原明哲監訳

この本は、コロナ禍で家に閉じこもっている時に、システミックな事故というのを知るために専門書でもきちんと読もうかと思って読み始めたのですが、途中で挫折した苦い思い出があります。
柄にもないことをするものではありませんね。

つづく

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