日本人ほど日本人論が好きな国民はないそうで、小生もいろいろな問題意識でそういう本を読むことはありますが、中でも山本七平の「空気の研究」は名著だと思います。
それで、山本七平のことをもっと全体的に知りたいと思い、「山本七平の思想」を読みました。
読み進める中で、当時、歴史をシステムとして見ることを書いた本を買おうと思っていた小生の目に、引用記載されていた小林秀雄の言葉が目にとまりました。
小林秀雄の太平洋戦争についての発言:
「この大戦争は一部の人達の無智と野心とから起ったか、それさえなければ、起らなかったか。どうも僕にはそんなお目出たい歴史観は持てないよ。僕は歴史の必然性というものをもっと恐ろしいものと考えている。僕は無智だから反省なぞしない。利巧なやつはたんと反省してみるがいいじゃないか。」
出典:「山本七平の思想」東谷暁著
小林秀雄の言葉は、「近代文学」一九四六年二月号による。
ここで、「歴史の必然性」という言い方をしていることについて、左翼系の人が自らの主張を正当化するために使われることがあるので小生は好まないのですが、日本の近代化のプロセスを含む様々な要素が影響しあって歴史的結末(例えば敗戦というような)に至った、すなわち歴史はもっとシステミックなものだと言っているように、私には思われました。
つづく